私はずっと持てない学生生活を送ってきました。
性格がおとなしくて内向的であり、容姿もあまり良い方ではなかったからです。
常に友人には彼女がいて、いつもうらやましく思っていたんです。
しかし女性経験がずっとないと、逆に女性に対して妄想がふくらみ、ますます理想も高くなっていったのです。
友人にコンパにさそわれるも、自分が想像の中で描いたような美人な女性はなかなかあらわれず、いつもコンパは成果がなくかえってくるだけでしいた。
友人が紹介してくれる女性も自分の理想にかなわず、いつも断る状態で、いつしか友人もあきれ果てるといった状態だったんです。
自分の容姿を棚に上げて、理想ばかりが膨らむので、自分は一生独身だろうなと30歳半ばになってあきらめるようにもなりました。
そんなある日通勤電車は満員だったのですが、その中で美しく輝く女性を見つけてしまいました。
自分が想像の中で描いていた容姿そのものの女性であり、これは運命の人ではないだろうかとさえ思うようになったんです。
その瞬間、女性の背後に男性が立っていて、女性は苦しそうな非常につらい表情をしていたのです。
これは背後の男性が満員電車であることをいいことに、置換しているのではないかと思い、すぐさまその男の腕を捕まえて痴漢だと私はとっさに叫んでいたのです。
そのあとは駅に停車し、その男は駅員に取り押さえられていきました。
そこでその女性が私に非常に感謝し、連絡先を教えてほしいといわれたのです。